1970年12月3日 かくいうぼくも 夏への扉を探していた

メモ

あああ

1970年12月3日 かくいうぼくも 夏への扉を探していた

いいい

主君カラバ公爵のために命も厭わず怪物にたちむかった猫。
大好きだったペローの童話『長靴をはいた猫』を思い出している。粉挽きの三男坊が死んだ親父の形見分けとしてもらったのが猫一匹。
明日の当てもなく途方に暮れる男。
しかし猫は持ち前の機知と行動力で、男の窮地を救うのである。
いま考えればけっこう無茶苦茶でブラックな話だった気がする。時間SFの名作と呼び声高い『夏への扉』
いつかは読まねばと思いつつようやく手に取ったが、こちらもタイトルと可愛らしい猫の表紙からは想像だにしないサスペンスフルな展開が待っていた。なんとも魅力的な時間移動の方法。
一足飛びに時を駆け抜ける描写は、主人公と共に自分が体験しているかのよう。
目の前にひろがる懐かしい未来(レトロ・フューチャー)。
1970年から2000年に飛ぶ話が1950年代に書かれている。
ハインラインにとっては物語内での現在の事象さえ未来。そして、物語の未来の事象さえすでに過去となっている2013年の僕がこの本を読んでいる不思議。
文化女中器(ハイヤード・ガール)なんて、ぐっとくる言い回しに「メイド・ロボ」的なものを想像していたら「それ『ルンバ』じゃーん」
僕は立派な未来人。
実生活では、スマホよりも3D映像よりも、納豆の「大豆(遺伝子組み換えではない)」表示に一番未来を感じている。ヒロインは『がんばれ!ベアーズ』のテイタム・オニールで脳内再生された。こういうのも遠距離恋愛になるのだろうか。伏線が少しずつ回収されていく終盤は、やはり時間SFの醍醐味。
「でもまてよ。こう、うまくいくと前に来ていたあの人はどうなるの?」
一瞬不安になったが、そこはそれ。博士のポケットの中の五ドル貨。読みのがした新聞。
シュレディンガーの猫。
そう、タイムパラドックスの帳尻を合わせて主君を護るのも「猫」の役目。
さすがは「護民官ピート」なのである。

『夏への扉』が書かれたのはなんと1957年。
作品の冒頭の時点で1970年、さらに作中では2000年まで時代が進む。未来予測に基づいて書かれたSF小説だが、実際に現実化している機械が多数存在しているところに、作者ロバート・A・ハインラインの観察眼の鋭さを感じる。

物語の核とも言える〈ハイヤーガール〉全自動掃除機など、まさしくル●バそのものではないか。むしろ現実の●ンバより賢いぐらい。私だって〈フレキシブル・フランク〉全目的ロボットが欲しい!

《ストーリー》
主人公ダン・デイヴィスは、数々の発明を行う天才技術者である。彼は親友マイルズと恋人ベルの裏切られ、自分の会社も発明品の特許も騙し取られて失意のドン底にあった。彼は「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられるまま、30年間の冷凍睡眠の契約を結ぶ。そして……。

1〜4章の1970年の話までは重苦しい展開が続くが、ここを真剣に聞いておくことで最後のどんでん返しがより一層楽しめるものになるはずだ。
5章以降の2000年に跳躍してからの話は紆余曲折ありつつも次々に起こる展開に続きが気になってページを捲る手が止まらなくなる……いや、いつまでも聴くのを止められなくなっているだろう。
これまでに散りばめられた謎が解き明かされていく様は圧巻の一言。最後はハッピーエンドで終わるのも読後感が良い。

《ナレーション》
高梨謙吾さんはとても耳馴染みの良い聞きやすい声質で、演じ分けもお上手なので聞いていてとても安心感がある。一人朗読のため女性役も担当するのだが、ベルの豹変ぶりはお見事と言う他ないし、リッキィの子供らしい愛らしさも伝わってきた。こういう女性や女の子の役は朗読でしか聞けないので貴重だ。

また、序文に“世のすべての猫好きにこの本を捧げる”とある通り、猫に対する描写がとても丁寧で、読み終わる頃には愛猫ピートにすっかり魅せられてしまった。彼にもしっかりセリフが割り当てられていて「ウエアーア」「ナーオウ」「ナアウ?」「ニャアウ!」などなど、猫の鳴き真似まで聞ける!字面で読むのも良いが聴くのはなお良い。ピートへの愛着が増して、この物語の結末がさらに感動的なものになった。

『コールドスリープ=冷凍睡眠』などSF小説らしい独自のルビ振りについても、読上げに工夫が凝らされていて、耳で聞いていても十分楽しめる。
( )で括られた注釈部も、声のトーンを変えることで自然に文脈に織り込まれていてとても聞きやすかった。

ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。

SF作品のオールタイムベスト10などで常時上位の作品です。ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ!そんな時、<冷凍睡眠保険>のネオンサインにひきよせられて…。-文庫版うらすじより1950年代に書かれた作品ですが、1970年になったら冷凍睡眠をして未来で目覚めるという話が作られていたのは驚きでした。SFはまだあまり読んでいないジャンルですが、冷凍睡眠というのは結構よく出てきますね。
31年後の2001年にはタイムマシンまでできていました。
地球の進化は物語より現実の方が遅いですね。
今、一番SFっぽいものって、コロナ禍で仕方なくみんながしている、マスクやフェイスシールドじゃないでしょうか。
タイムマシンは夢であって、永久にできないと私は思います。
物語は時間旅行を使ったラブストーリーです。
最後の方の展開はお約束通りですが、やっぱりはらはらしました。
この作品は、男性にちょっと都合のいい夢物語のような気も少なからずしました。

鮮やかなストーリーの時間旅行小説であり、どん底に落ちた主人公の復活の物語であり、そして知る人ぞ知る猫小説の傑作でもある『夏への扉』。ハヤカワ文庫SFの福島正実訳は、これからの季節に読むのにぴったりの逸品です。

【映画「夏への扉」ストーリー】 1995年東京――。ロボット開発をする科学者の高倉宗一郎は、尊敬する偉大な科学者であった亡き父の親友松下の遺志を継いだプラズマ蓄電池の完成を目前に控えていた。愛猫のピートと、松下の娘・璃子との穏やかな日常の中で、研究に没頭する日々を送っていたが、信頼していた共同経営者と婚約者・鈴の裏切りにあい、自身の会社も発明途中のロボットや蓄電池も奪われてしまう。さらに宗一郎は人体を冷凍し未来に行ける装置・コールドスリープに入れられ、目が覚めたそこは、2025年の東京だった―。ピートや璃子の死を知り、すべてを失ったと知る宗一郎は、変えられた運命を取り戻すため、30年の時を超えてリベンジを誓う――。

ううう

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